Netflixは一度の人生では観終わることのない数の番組を次々に配信している。これに対してAmazonプライム・ビデオは、質の高いオリジナルコンテンツを鑑賞できる数少ない場所を提供し続けている。
だが、迷路のように入り組んだこのサービスのメニューは、適切なドラマシリーズの“発掘”に苦労する場合がある。そこで、『WIRED』がお手伝いしたい。
以下は配信中のドラマシリーズのなかで、おすすめの24タイトルだ。Amazonプライム会員になれば、大半の作品は視聴できる。Amazonプライム・ビデオのおすすめ映画も用意しているので、ドラマの気分ではない人はそちらをチェックしてほしい。
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ザ・ループ TALES FROM THE LOOP
「ザ・ループ TALES FROM THE LOOP」は数年前につくられた作品だが、Amazonプライム・ビデオで配信されているドラマのなかでも魅力的な番組のひとつとして存在し続けている。
本作は、スウェーデン人アーティストのシモン・ストーレンハーグが手がけたアートブックを骨組みに脚色が加えられた作品だ。オハイオ州マーサーに住む住民たちの生活が、不可能を可能にする実験物理学の地下研究施設「ループ」に影響されていく様子を追っている。
凍りついた時間や人生の入れ替わり、パラレルワールドをはじめとする物語に命を吹き込むのは、アンドリュー・スタントンやジョディ・フォスターといった豪華なキャストと監督たちだ。
この作品は何と言っても映像が美しい。ストーレンハーグの作品の卓越した美学に含まれるネオフューチャリスティックな風景と田舎の地域社会を並置して捉えており、ほかのドラマでは体験できないビジュアルと感覚の番組をつくり出している。
全8話で構成されたこのドラマ。マーサーの街への滞在は短いながらも、忘れがたい体験になるはずだ。
デビルズ・アワー 〜3時33分〜
謎の犯罪者ギデオン・シェファードを演じるピーター・カパルディが「時間認識が人より優れてるんだ」と話す場面で、「デビルズ・アワー 〜3時33分〜」の原案者のトム・モランは、12代目のドクター・フーを使って第4の壁を小さく破ることを明らかに楽しんでいる。
だが、この骨太な6話のドラマを「ドクター・フー」シリーズに近づけているのは、それくらいだ。代わりにこのドラマは、殺人ミステリーとスリラーを混ぜ合わせ、超自然現象を少し加えている。
本作に焦点が当てられているキャラクターは、くたびれ果てたソーシャルワーカーのルーシー（ジェシカ・レイン）だ。とある問題を抱え、徐々によそよそしくなっている幼いひとり息子と暮らすルーシーは、午前3時33分に決まって目を覚まし、恐ろしい幻影に苦しめられている。
その悪夢によってルーシーは、残忍な殺人事件と子どもの誘拐事件を追う刑事ラヴィ・ディロン（ニケシュ・パテル）の捜査線上に引きずり込まれてしまう。
この2つの出来事の関係性を明らかにしようとするなかで、ルーシーはシェファードと対面することになる。ドラマを通じて突出した存在感を示すレインとカパルディの邪悪な演技は、画面上で繰り広げられる最も恐ろしいもののひとつになるだろう。
ゼム
「ゼム」はリトル・マーヴィンによって生み出され、映画『クイーン＆スリム』のリナ・ウェイスが製作総指揮を務めたホラーアンソロジードラマだ。第1シーズンは、1950年代のロサンゼルスを舞台に、白人ばかりが住む地域に引っ越してきたエモリー家の姿を追う。
おおまかな物語の展開は予想できるはずだ。リヴィア（デボラ・アヨリンデ）はすぐに、ベティ（アリソン・ピル）が率いるするこの地域の『ステップフォードの妻たち』風の主婦たちによって新居に閉じ込められ、生き地獄のような生活を送らされる。
一方、夫のヘンリー（アシュリー・トーマス）は、職場で暴行や嫌がらせに遭う。アヨリンデとトーマスが全編を通して目を見張る存在感を放ち、過酷な脅威の下での生活が引き起こす精神と肉体的、そして感情的な混乱を見事に表現している。
この時代を描くだけでも、十分な緊張感と恐怖感があるはずだ。しかし、その上におぞましい超自然的な脅威を重ねることで、恐ろしさに襲われ続ける感覚を味わえる作品に仕上がっている。
ロード・オブ・ザ・リング：力の指輪
『指輪物語』の作者J・R・R・トールキンがつくり出した中つ国の広大な歴史をひも解いている「ロード・オブ・ザ・リング：力の指輪」。原作本（あるいは、この脚色作品の映像言語の元となっている映画）の数千年前を舞台にした本作は、トールキンの第2紀における主要な出来事を詳細に描いている。
本作で焦点が当てられているキャラクターは、モルゴスの召使いサウロンを探すガラドリエル（モーフィッド・クラーク）だ。しかし、島国ヌーメノールの没落や、人間とエルフとドワーフの間の政争、タイトルになっている非常に危険な指輪の鍛造といった重要な出来事も掘り下げられており、意欲的なファンタジードラマになっている。
このドラマを巡っては、賛否が分かれた意見が飛び交っている。だが、史上最高額の制作費を投じてつくられた番組から、アマゾンが十分な対価を得たことも否定できない。
このドラマは、これから出合う作品のなかでも最も美しいもののひとつになるだろう。現在進行中のストーリーがこれからうまく着地するかはまだわからないが、いまのところ本作より優れた純粋なファンタジー大作は存在しない。
ペーパーガールズ
80年代を舞台に、はぐれものの4人の子どもたちに焦点を当てた「ペーパーガールズ」。本作のことを、性別を逆転させた「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のアマゾン版であると言ってしまうのは安易すぎるだろう。本作は、このジャンルにありがちなテーマ（ここでは恐ろしい異次元ではなくタイムトラベル）を超え、ほかとは一線を画す作品になっている。
このドラマは、Image Comicsから発表されたブライアン・K・ヴォーン、クリフ・チェン、マット・ウィルソンが手がけた漫画が原作だ。1988年から2019年へと飛ばされ、自身の未来の一部を見せられた若いヒーローたちの姿を描きながら、運命と決定論というテーマを探求している。こうしたなか、時間を巡る戦争が歴史を超えて激化していくのだ。
キャムリン・ジョーンズやライリー・ライ・ネレット、ソフィア・ロジンスキー、フィーナ・ストラッツァといった素晴らしい若手俳優が、アリ・ウォンやアディナ・ポーターをはじめとするベテラン俳優たちを相手に活躍する「ペーパーガールズ」は、この単純明快なジャンルが誇る最高のドラマである。
ヴォクス・マキナの伝説
下品でグロテスク、そして絶対に子ども向けではない「ヴォクス・マキナの伝説」。このアニメは、英語圏の有名声優陣が「ダンジョンズ＆ドラゴンズ」のゲームプレイを生配信するヒットコンテンツ「Critical Role」として始まり、魔物のような作品へと独自の進化を遂げた番組だ。
洗練されたアニメーションで描かれるこのファンタジー作品は、タイトルにもなっている雑多な冒険家たちの一団「ヴォクス・マキナ」の姿を追う。早撃ちの名人やドルイド、そしてこうした作品には必ずと言っていいほど登場するスケベな吟遊詩人で構成された酔っ払いたちの集まりは、冷血なブライアウッド卿夫妻からホワイトストーンの街を取り戻すために戦っている。
本作の土台となったゲームの長年のファンはもちろん、ゲームを知らない人でも問題なく楽しめるはずだ。この番組は「ダンジョンズ＆ドラゴンズ」を存分にからかいながらも、歴史あるボードゲームに対する愛を告白しながらバランスをとっている。元のコンテンツを超越し、アマゾンで最も独創的な大人向けアニメのひとつとなった。
ザ・ボーイズ
スーパーヒーローは、希望と平穏の象徴として生まれた存在だ。これはかたちがどうであれ、わたしたち人間がもつ美しい部分である。
だが、ガース・エニスとダリック・ロバートソンのダークな風刺漫画を原作とする「ザ・ボーイズ」のスーパーヒーローたちは、人間の最も醜い部分を映し出す。それは、欲と自制されていないスーパーパワーだ。
既得権をもつ企業の利害によって素直な民衆に売り込まれるヒーローたちは、自分の力を余すことなく発揮し、死体の山を築き上げる。ビリー・ブッチャーと彼の“同僚”は、見境なく暴力を振るうスーパーヒーローたちを派遣するのだ。
新たに公開されたシーズン3でチームは足を洗い、政府のために働くことを余儀なくされる。だが、ヴォート社によって送り出された世界最強のスーパーヒーローで、セブンのリーダーを務めるサディスティックでサイコなホームランダーを倒す方法をなかなか見つけられずに苦しむ。そんななかブッチャーは、自分が最も嫌う存在であるスーパーヒーローになることに葛藤する。
おそらくアマゾンで最もグロテスクなドラマ「ザ・ボーイズ」は、すべてをスーパーヒーローの衣装で包み込みながら、権力の乱用に対して核心を突こうとしているのだ。
天空の旅人
アイリーンとフランクリン・ヨークは、一般的な引退した夫婦のようにしか見えない。ふたりは数十年の思い出が詰まった家で晩年を過ごしながら、夜になると星を見るために異世界の小屋へとテレポートする。
もしかすると、ふたりは普通の老夫婦とは違うのかもしれない。そして、ふたりの秘密の部屋に突如として現れたジュードという謎の男によって、夫婦の生活は乱されてしまう。
ゆっくりと物語が繰り広げられるSFドラマ「天空の旅人」は、ストーリーの核となる小屋の謎を解き明かし、死と老いの厳しさというテーマを探求する。キャリア最高の姿でシシー・スペイセクとJ・K・シモンズがキャリア最高の姿で演じるヨーク夫妻は、若かりしころに偶然見つけた宇宙の謎を、自分たちの体と心が止まる前に必死に解こうとしているのだ。
ホイール・オブ・タイム
ロバート・ジョーダンが手がけた「ホイール・オブ・タイム」が原作の小説シリーズは壮大すぎて、「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作が簡潔に見えてしまうほどだ。このドラマは、Amazon プライム・ビデオで配信されているドラマのなかで、最も野心的かつ高額な制作費がかけられた作品のひとつである。
全8話で構成されるシーズン1は、強い力で古代の魔法を操る女性、モイレイン（ロザムンド・パイク）の姿を追う。彼女が集めた5人の地味な若者のうちのひとりが、世界を救う、あるいは滅ぼす運命を背負っている。唯一の問題はそれが誰なのか、若者たちの力が目覚めた場合に彼らの忠誠心がどちらの方向に傾くのか、誰も知らないことだ。
豪華なロケ撮影に映画的な視覚効果を組み合わせた映像美が光るこのドラマは、ほかの番組によって生まれてしまった壮大なファンタジーへの渇望感を、間違いなく満たしてくれる。
インビンシブル 〜無敵のヒーロー〜
父オムニマンの驚異的なパワーと能力を受け継いだマーク・グレイソンは、スーパーヒーロー「インビンシブル」として父親の跡を継ぐことを目指す。だが不幸なことに、グレイソンの10代は全世界を揺るがす衝撃的な展開によって、個人的にも世界的な政治の舞台でも台無しにされてしまう。
原案者のロバート・カークマン、そして作画を務めるコリー・ウォーカーとライアン・オットレイがImage Comicsから発表した漫画を鮮やかにアニメ化した「インビンシブル」。本作は、スーパーパワーをもつ存在が社会に与えるかもしれない影響について、より成熟した見方を提供している。
10代のキャラクターを主人公にしたスーパーヒーローものの決まり事をからかうかたちでスタートした「インビンシブル」だが、マーベルやDCコミックスのキャラクターがめったにやらないことを成し遂げている。それは、作中での成長だ。
トゥルース・シーカーズ 〜俺たち、パラノーマル解決隊〜
「ドクター・フー」シリーズのファンに向けられた番組「トゥルース・シーカーズ 〜俺たち、パラノーマル解決隊〜」は、超常現象を巡ってどんちゃん騒ぎするおかしなドラマシリーズだ。ニック・フロスト（ぶっきらぼうな通信技術者でゴーストハンターのガスを演じる）とサイモン・ペッグ（ガスのボス役。終始ゲスト的な出演が多い）が手がけた作品は、ペッグよりもニックのほうに重きが置かれている。
同じジャンルの作品に対するオマージュがふんだんに盛り込まれたこのドラマは、家族全員で楽しめる番組だ。サムソン・カヨ、スーザン・ウォコマ、マルコム・マクダウェルも出演している。
地下鉄道 〜自由への旅路〜
映画『ムーンライト』の監督バリー・ジェンキンズが手がけたこのミニシリーズ「地下鉄道 〜自由への旅路〜」は、ピュリッツァー賞を受賞したコルソン・ホワイトヘッドの小説を忠実に再現している。米国南部から逃れる奴隷たちを助けたネットワーク「地下鉄道」のアイデアを取り入れ、列車と秘密の駅員たちがいる地下鉄システムとして生まれ変わった歴史フィクションだ。
Fleabag フリーバッグ
主人公のフリーバッグを好きになるはずがない。彼女は狂信的、利己的、自己破壊的で、道徳心が欠落しているからだ。彼女の家族も憎らしく、常識では考えられないような人生を送り、クソみたいな仕事に就いている。だが、この全12話のシリーズ「Fleabag フリーバッグ 」を観終わると、どこか憎めなくなってしまう。
親友の死と向き合うひとりのロンドンに住む女性（フィービー・ウォーラー＝ブリッジ）の姿を描くこの偉大なシチュエーション・コメディには、何の遠慮もない。フェミニズム、家族間の緊張関係、愛、変態的性行為に関するフリーバッグの考えを聞くことになる。ウォーラー=ブリッジが初めて自分のセリフを中断し、人懐こい秘密めいた視線をスクリーンに投げかける場面で、彼女の虜になるだろう。
シーズン1は、フリーバッグの極度に気難しい姉クレア（シアン・クリフォード）、わがままでうぬぼれの強い継母（オリヴィア・コールマン）、つかみどころのない父親（ビル・パターソン）らの登場人物たちが繰り広げるわいせつだが素晴らしい自己破滅の最高潮を迎える。シーズン2は、フリーバッグがカトリックの神父（アンドリュー・スコット）への不適切な（そしてその価値がある）感情と格闘するなかで、神への冒涜へ陽気に飛び込んでいく。
これは衝撃的であり、観る価値は大いにある。このドラマは出来のよさが評判通りである数少ない例のひとつだ。
高い城の男
第2次世界大戦でナチスが勝利した世界を描いたSFの巨匠フィリップ・K・ディックの小説を原作とする「高い城の男」は、アマゾンが手がけた最初のオリジナルコンテンツのひとつである。世界観は見事に再現されており、もうひとつの現実として描かれる分断された60年代の米国は、つくり物のようには見えない。
ここでひとつ注意しておこう。一部の視聴者にとっては、現代とあまりに重なる表現があるかもしれない。
マーベラス・ミセス・メイゼル
夫が頭の弱い秘書と不倫していることを知ったとき、ニューヨークに住む女性は何をするのだろうか。メイゼル夫人を例にとってみよう。彼女は寝間着のガウンをまとって小汚い酒場に向かい、漫談を少し披露して観客に胸を見せたあと、警察に連行されてしまった。
このドラマ「マーベラス・ミセス・メイゼル」は1950年代を舞台に、おしゃれで口の立つメイゼル夫人が新たに歩み始めたコメディアンとしての人生を家族や元夫に隠しながら、性差別やたちの悪い観客、強大な同業者と闘う作品だ。ジョーン・リバースのキャリアをさりげなく再現する本作は、レイチェル・ブロズナハンがミッジ・メイゼル役を演じている。
4シーズンが配信され、数々の賞の受賞とノミネートを果たした「マーベラス・ミセス・メイゼル」。Amazonプライム・ビデオで配信されている最もとがったコメディ作品のひとつだ。
エクスパンス 〜巨獣めざめる〜
人類は星々の間で暮らすようになった。少なくとも太陽系の他の場所で。ある裕福な家庭の政治活動家が失踪したことをきっかけに、ダークヒーローたちがひとつのグループとして結び付けられる。そして自分たちの間で、活動家に何が起こったのか解明しなければならない。
地球、火星、そして小惑星帯（ふたつの惑星の傘下に置かれているコロニー）の間の政治的緊張が、事態をさらに複雑にしている。これだけの話が「エクスパンス 〜巨獣めざめる〜」のシーズン1に盛り込まれているのだ。
Amazonプライム・ビデオでは6シーズンが配信されている。そのいずれも大胆な任務や宇宙での戦闘、火星の政治問題が十分に詰め込まれているので、熱心なSFのファンは目が離せなくなるに違いない。
グッド・オーメンズ
番組内で繰り広げられるディストピアや、それ以上に暗い現実世界のニュースに打ちのめされ、精神的に参ってしまっていないだろうか。「グッド・オーメンズ」は、そんな人のために用意された心の避難所だ。
中に入ると暖かく、居心地がいい。そして、泥臭い男の友情と優しさに溢れているのだ。
ニール・ゲイマンが1990年にテリー・プラチェットとともに手がけた小説をドラマ化したこの作品は、ハルマゲドンを止めようとする天使（マイケル・シーン）と悪魔（デヴィッド・テナント）の物語だ。素晴らしいキャストとスタッフが生み出すケミストリーによって、全6話のこのドラマはファンが望んでいたものを届けてくれる。
おかしな物語のなかには、冷戦をほのめかす内容や仰々しいほどの奇抜さ、そしてぶっきらぼうな英国のユーモアが盛り込まれているのだ。
フォーエバー 〜人生の意味〜
「パークス・アンド・レクリエーション」と「マスター・オブ・ゼロ」を手がけたアラン・ヤンとマット・ハバードが送る、展開の遅い型にはまったミニシリーズ「フォーエバー 〜人生の意味〜」に夢中になれるかどうかは、1話目を見ればわかるだろう。
ハイコンセプトな物語と気まずい結婚生活を混ぜ合わせた本作は、マーヤ・ルドルフとフレッド・アーミセンという才能あふれるふたりの主役の笑える演技によって、下支えされている。たまにイライラさせられるかもしれないが、最後まで観れば心に深く刻まれる作品となるだろう。
スニーキー・ピート
刑務所から出たばかりのマリウス（ジョヴァンニ・リビシ）は、過去の生活を原因とする危険から身を隠すために、同じ房にいたピート・マーフィーになりすます。この番組の製作陣でもあるブライアン・クランストン演じる残忍な借金取りから逃れるべく、マリウスはピートの疎遠になっていた家族のなかに紛れ込む。そして、長らく行方不明だった肉親との再会を喜ぶ家族に歓迎された。
そんなマリウスは、過去の自分がいた世界と同じくらい危険な場所へと、また足を踏み入れる。3シーズンにわたって配信された「スニーキー・ピート」は、これまでアマゾンが手がけたドラマのなかで最も優れた作品のひとつであることを証明しているのだ。
MR. ROBOT / ミスター・ロボット
エミー賞を受賞したスリラードラマ「MR. ROBOT / ミスター・ロボット」は好調なスタートを切り、そのまま全4シーズン通して面白さを失うことはない。
ラミ・マレック演じるエリオット・アルダーソンは、孤立主義者のサイバーセキュリティ専門家から私的制裁を目的とするハクティビストに転身した。そんなアルダーソンは、多くの視聴者がほとんど理解できないテーマに対して弱々しい顔を見せる。
一方、アルダーソンが所属するハッカー集団が標的にしている腐敗した組織や���体不明の企業が、現実味のある現代的な悪役像をつくり出す。ハッキングが最も正確に描かれた番組のひとつでありながら、あらゆる意味で卓越したテレビシリーズである。
モーツァルト・イン・ザ・ジャングル
ニューヨークのオーケストラで演奏するプロの音楽家たちの生活を収めたコメディドラマ「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」は、奇妙な野獣のような作品だ。このシリーズは、ニューヨーク交響楽団でオーボエ奏者としてキャリアを積もうとしているヘイリー・ラトリッジ（ローラ・カーク）の姿を追い、エキセントリックな指揮者ロドリゴ・デ・ソウザ（ガエル・ガルシア・ベルナル）との複雑な関係を描く。
プロのオーボエ奏者ブレア・ティンドールの回顧録『セックス、ドラッグ、クラシック』を現実世界の元ネタとし、強力なクリエイティブチームが手がけた、感動と笑いを頻繁に届けてくれる番組だ。ゴールデングローブ賞にノミネートされエミー賞を受賞した本作は、アマゾン独占配信番組のなかでも最高の作品のひとつであることが証明されている。
レッド・オークス
映画監督を目指して奮闘する大学生のデイヴィッド・マイヤーズ（クレイグ・ロバーツ）は、大人になる前に最高の夏をもう一度だけ味わいたいと80年代の半ばに考えている。だが残念なことに、気取ったカントリークラブでの仕事で身動きがとれず、人生の勢いをなかなかつけられていない。
映画業界で成功するという大きな夢が壊滅的な現実に直面するなか、カントリークラブを訪れる風変わりな客たちは、厄介な結婚式の撮影から乱交パーティクラブのセックスビデオ制作まで、さまざまなことを求めてくる。客たちの要求を何とかこなしながら、恋人のスカイとの関係を維持するために奮闘するデイヴィッド。この愉快な時代ものコメディ「レッド・オークス」は、全3シーズンを視聴できる。
ロア 〜奇妙な伝説〜
ハロウィンを過ぎても十分楽しめるこのアンソロジーシリーズ「ロア 〜奇妙な伝説〜」は、「現代の神話や伝説につながった実在の人物や出来事に基づく、恐ろしくてしばしば心をかき乱す物語」を紹介するという。
受賞歴もある同名のポッドキャストを基につくられたこのシリーズは、いますぐ骨の随まで凍らせてくれるような現実世界のホラーストーリーが、各シーズンごとに6話収録されている。現在はシーズン2まで配信されている。
The Tick / ティック〜運命のスーパーヒーロー〜
世界で最も奇妙なスーパーヒーローのひとりであるティックは、ベン・エドランドが86年に発表したインディーズコミックから誕生した。そして、94年にアニメシリーズ化されたことで幅広い人気を獲得しているキャラクターだ。
2度目の実写化（1度目は2001年に1シーズンを放映）となる「The Tick / ティック〜運命のスーパーヒーロー〜」では、ピーター・セラフィノウィッツが、正義を愛する青くて大柄なヒーローを演じている。
このヒーローは、桁外れの耐久力をもつ脱走した精神病患者にすぎないのかもしれない。アマゾンが15年に実施した投票プログラム「Amazon パイロット・シーズン」を経てドラマシリーズ化されたこの2シーズンからなるこの番組は、スーパーヒーローが放つおかしな言動を楽しめる作品だ。
（WIRED US/Edit by Naoya Raita）
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