クラベ・エスラが選ぶゲームの史上最高傑作 TOP 10!

1位はもちろん”あのゲーム”だが……

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みなさん、こんにちは。IGN JAPANの新企画「ライターが考えるゲーム史上最高傑作」へようこそ。この企画ではIGN JAPAN編集部及びフリーライターの最も大好きなゲームを10本に絞って、ストレートに紹介していく。

「しゃべりすぎGAMER」などの番組を見て、あるいは何かの記事を読んで、「そもそもこの人はどういう趣味をしているのか?」と気になったこともあるかもしれない。その疑問に答えるために、この新企画をスタートしたい。

トップバッターとして、僕(クラベ・エスラ)の最も大好きなゲームのTOP 10を紹介しよう。僕のことを知っている人であれば1位は驚かないはずだが、ほかにどんなタイトルがランクインしているのだろう? シリーズにつき1作品まで絞っているので、”あのゲーム”の「I」、「II」、「III」が全部ランクインしているなんてことはないので、安心してもらいたい。それでは、見ていこう!

10. FOREVER BLUE 海の呼び声

「FOREVER BLUE」はつい先日、約15年ぶりに新作が登場した。新作『FOREVER BLUE LUMINOUS』は海を探索・観察するゲームと言えそうだが、2009年に発売した『FOREVER BLUE 海の呼び声』はダイバーという人種の生き様そのものを描いたゲームだったように思う。

「潜れるゲームは神ゲー」と友人に言われたことがある。描かなくてもいいところまで描かれていると、ゲームの世界が実在するような心持ちがしてくるからだろう。そうなってくると、水中を探索するゲームでは陸に上がりたくなるはずだ。ダイバーを描く以上は、彼らが仕事を終えた後にギターを弾いたり、望遠鏡で星を眺めたり、髪を切ってもらったりするところが見たいのだ。「海の呼び声」はそんな僕のクレイジーな理想に最後まで答えてくれた、ごく珍しいゲームだ。

水中探索自体も恐ろしいほど本格的だ。エーゲ海からアマゾン川まで6つの実在するダイビングスポットを訪れることができ、300種類以上の生き物を観察したり、触れ合ったり、写真を撮ったりできる。水中ガイドから海底遺跡の宝探しまで、多種多様なミッションが非暴力的でありながら刺激的なダイビング体験を生み出してくれる。

「海の呼び声」の主人公はダイビングに集中するために大学を1年間休学しているが、本作をクリアした頃は「俺もそうすればよかった」と思うほどに、ダイバーたちが魅力的に思えた。

9. ファイナルファンタジーX

僕はどちらかといえばインタラクションや選択肢を用いることでプレイヤーに介入の余地を与えるストーリーのゲームが好きだが、『ファイナルファンタジーX』はバトルとカットシーンから構成されたクラシカルなRPGのストーリーテリングを採用している。それでも、『ファイナルファンタジーX』の物語・世界観・キャラクターはいつまでも心に残っている。

物語の途中から始まり、主人公ティーダがプレイヤーに語りかけるようにそれまでの出来事を振り返るという、ゲームとしては珍しいシナリオ。日本と東南アジアの要素をブレンドした、あり溢れた西洋ファンタジーや和ファンタジーとは一味違った世界観。愛と憎しみが共存する父親ジェクトとの戦い。一目惚れから激しいキスまでを描くユウナとのラブストーリー。

多感な時期にプレイしたということもあり、異界送りの儀式を執り行うユウナの美しい姿に見惚れるティーダの目線が、そのまま僕の目線でもあった。クラウドやスコールと違って、ティーダはうるさくて、ダサいやつで、『ファイナルファンタジーX』の描いた青々とした海と同様、眩しいまでに素直な存在だ。当時はまだそのことに気が付いていなかったが、僕もまたとんでもなくダサい人間なので、ティーダは自分を重ねやすいキャラクターだったと今になって思う。

8. スーパーマリオギャラクシー 2

すべての法則を無視した宇宙ほどマリオのクリエイティブ溢れるゲームデザインにマッチした舞台もない。『スーパーマリオギャラクシー』はすでにこれを証明していたが、続編ではハブエリアが簡略化され、ステージ選択画面からどんどん新しい遊びへそのまま飛び込んでいける。

ヨッシーも登場し、他のどのマリオゲームよりも多彩な能力を持っている。猛ダッシュをしたり、身体を膨らませて浮いたり、暗いステージで懐中電灯のように光ったりして、「マリオギャラクシー」の宇宙をさらに豊かな経験にしてくれている。

世界観も探索もそっちのけで、面倒くさいことなしにとにかく面白いステージデザインやギミックがぶっ通しで遊べる。任天堂という老舗が飾りつけなしに提供する、原始的なビデオゲームの面白さのフルコースなのだ。

7. 風ノ旅ビト

ウォーキングシミュレーターは主に一人称視点のゲームについて言われるが、『風ノ旅ビト』はまさに歩くシミュレーションだ。アクションはもちろん、謎解きも最小限に留められ、遠くにうっすら見える山をめがけてひたむきに歩く。砂漠から旅立ち、夕焼けを眺めながら砂丘を滑っていると、特別なゲームと出会ったことがわかった。

左スティックを傾けているだけで景色も変われば、出会いもあり、楽しいひと時も過ごせば、苦しい経験もする。3時間程度で終わる旅路は言葉をなにひとつ用いないまま、私たちの人生について、あまりにも多くのことを教えてくれる。

終盤で雪山を登っているときに味わえる無力感は、パワフルな気分を味わわせる通常のゲームとは真逆の体験だった。「歩く」という動作を「操作」に落とし込むことで、いかに多くを表現できるかを見せてくれた作品だ。

6. ASTRO BOT: RESCUE MISSION

『スーパーマリオ64』が3Dゲームの可能性を見せつけたゲームなら、『ASTRO BOT : RESCUE MISSION』はVRの未来を切り開いたゲームとして歴史に残るべきだ���

アストロという可愛らしいロボットを操作しながら、敵や障害物はこの世界を覗き込むプレイヤーの邪魔をする。アストロがいる方向を見ながら難しいプラットフォームアクションをし、敵が飛ばしてくる攻撃を頭で避ける運動が新鮮だった。

操作キャラクターとプレイヤーを切り離すというVRならではの発想をメインコンセプトに、『ASTRO BOT: RESCUE MISSION』はステージごとにまったく異なる遊びを提供し、任天堂も顔負けのクリエイティブなゲームデザインでプレイヤーを飽きさせない。その発想力と完璧な実装に圧倒されて、ステージをクリアするたびに拍手してしまったゲームは本作だけだ。

5. 幻想水滸伝II

「幻想水滸伝」というRPGシリーズのゲームシステムは、戦争と人間を描くために存在している。パーティーの絆は様々な連携のとれる通常バトル、キャラクター同士の因縁は1対1で決着をつける「一騎打ち」、部隊対部隊の争いは戦場を俯瞰したSRPGのような形式で進行していく。

『幻想水滸伝II』はそんなシステムで、主人公と幼なじみのジョウイの深い友情と、ふたりが戦争によって敵対しなければならない運命を描いている。途中までパーティメンバーであるジョウイの加入と離脱を繰り返すことで、徐々に距離ができていく過程がRPGならではの手法で描写されている。

細やかなドット絵がみせるキャラクターたちの哀しみと、聴いただけで感傷的な気分に浸る音楽が届ける戦争ドラマはRPGというフォーマットだから表現できたタイムレスなストーリーなのだ。

4. エターナルアルカディア

『エターナルアルカディア』は何よりもその世界が魅力的だ。大航海時代から着想を得た空の上の世界を帆船で自由自在に冒険して、様々な気候や文化の国を訪れて、世界の不思議を自分の手で発見して、無人島に漂着してサバイバルな生活を強いられて、悪の帝国に忍び込んで……。王道ながら、少年が夢見るような冒険をフルスケールで体験させてくれたゲームを、当時の僕は他に知らなかった。

通常バトルの頻度は高すぎるが、飛行船同士のために用意されたもうひとつのバトルシステム「砲撃戦」はストーリーを盛り上げるためにも貢献している。

人を助ける青の空賊の一員である主人公ヴァイスは多くのRPGのキャラクターのようにまじめでもなければ、正義感が強すぎるわけでもない。大雑把で、ソニックのように少しクールで、しかしどこまでも前向きな性格が輝いて見えた。記号的でありながら魅力的なキャラクターや印象的な出来事で彩られた本作ほど純粋に冒険心をくすぐるゲームも珍しい。

3.ドラゴンクエストV 天空の花嫁

主人公の葛藤に満ちた半生を描き切った『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』。物語は主人公が6歳のときからスタートし、父親パパスを目の前で殺害され、長年の奴隷生活に耐え抜き、幼なじみと再会して結婚し、かと思えば石像にされて、挙句の果てに自分の子供が勇者だった!? だが、お父さんにおんぶしてもらったときに見た景色といったさり気ない場面も同じくらい重要だ。ビジュアルやセリフがミニマルでありながら、主人公の人生が高い解像度で表現されている。物静かで、孤独で、昨今のシネマティックなゲームにはない叙情性がある。

すぎやまこういちによるクラシック音楽はそのモノトーンなストーリーテリングに見事にマッチしているし、鳥山明のアイコニックなキャラクターデザインがそれをほどよくポップな見た目に仕上げている。今となってはもうこの世にいないふたりなしには考えられない本作は、いつまでも忘れられないRPGの古典だ。

2.ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』以降、シリーズは圧倒的な自由度を誇るオープンワールドに成長したが、僕はやはり旧3Dゼルダが忘れられない。ゲームから遠ざかっていた時期に出会い、もう一度ゲーマーになるきっかけを与えてくれた『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』の存在は特に大きい。

旧3Dゼルダの謎解きは基本的に正解が決まっている。プレイヤーが自ら生み出したシチュエーションではなく、閃きの連続で作り手の意図した展開にたどり着く過程を楽しむ体験なのだ。シリーズ屈指のダンジョンやアイテムの質と量を誇る「トワイライトプリンセス」ほど、それを濃密に味わわせてくれるゲームはない。アイアンブーツでダンジョンの天井を歩き、スピナーでレールに乗って超高速でボスを追い、ダブルクローショットで天空都市を登っていった経験は、あまりにも大きな冒険だった。

一方で、「トワイライトプリンセス」は羊飼いの仕事から始まるスロースターターであり、静かで日常的な場面にも事欠かないゲームだ。黄昏に覆われたハイラルの空の下の川で魚釣りに夢中になりながら孤独に浸った記憶は、この美しくも退廃的な世界観のゲームを何より象徴しているように思う。

1. シェンムー II

『シェンムーII』はゲーム史上最高傑作だ。これは僕の感想じゃなくて、客観的な事実だ……と、ついつい無茶を言ってしまうくらい、このゲームが好きだ。日常を描いた前作と違って、『シェンムーII』は旅を疑似体験させてくれるゲームだ。18歳の日本の少年である芭月涼が異国に降り立ち、右も左もわからないまま宿を探したり、現地民に騙されたりする。異邦人として見知らぬ土地を歩く涼の姿に浪漫を感じ、僕自身もバックパックを背負って旅することになった。

『シェンムーII』が僕をその気にさせたのは、その圧倒的なリアリティによるところが大きい。それぞれ雰囲気のガラッと変わる香港の各地区のすべての店に入ることができ、街を行き来する人々に話しかければフルボイスで答えてくれる。実在する街を描いたことで、「勇気を出せばあなたにも同じような旅ができる」と教えられた気がした。

『シェンムー 一章 横須賀』は主人公の地元を描き、狭いエリアに信じられないほどの密度を詰め込んだ。『シェンムーII』の香港もオープンワールド離れしたディテールが際立っているが、スケールアップによって街を行く人々がリアルに生活しているといった前作の一部のこだわりが犠牲になった。それでも、涼がすべての看板をフルボイスで読み上げたり、九龍城の巨大なビルのすべての部屋に入れたりなど、頭がおかしいこだわりを挙げるとキリがない作品である。

『シェンムーII』はストイックな研究者による狂気じみたプロジェクトでありながら、その研究者が困ってしまうほどにロマンチストでもあった。途中で出会った少女と山道を歩きながら、ただただ会話をしていくだけのパートが2時間も続く。そんなゲームを、誰が求めたのだろうか? 中学生だった僕の同級生はみんな、そんなことより「GTA」で無茶がしたかった。確かに、『シェンムーII』に選ばれた人は限られるのだろう。だが、もし選ばれたら、ゲームの垣根を超えた大きな体験から多くを学ぶだろう。少なくとも僕は、芭月涼の背中を追い求める人生でよかった。


いやぁ……難しかった。僕は普段から気に入ったゲームを記録しているので苦労はしないと思っていたが、30年以上のゲームライフから10本だけに絞るのはやはり無理がある。ベスト20まではなんとかなったが、そこから大好きなゲームを削っていくのが特に辛かった。どうしても多感な時期にプレイしたタイトルが多くランクインしているが、『Ghostwire: Tokyo』や『Dordogne』など、惜しくも外した最近のタイトルも少なくなかった。

それはさておき、これで僕の趣味が少しでもわかっていただけただろうか……? この企画を引き続き楽しみにしていただくと共に、みなさんのベスト10もぜひ知りたい!

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