グランブルーファンタジー リリンク - レビュー

プレイヤーの「冒険心」を呼び覚ます、手堅く楽しめる3DアクションRPG

『グランブルーファンタジー リリンク』レビュー プレイヤーの「冒険心」を呼び覚ます、手堅く楽しめる3DアクションRPG
※購入先へのリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、そちらの購入先での販売や会員の成約などからの収益化を行う場合はあります。 詳しくはプライバシーポリシーを確認してください

発表から8年。この長い期間、本作『グランブルーファンタジー リリンク』の発売を待っていたプレイヤーは数多くいたことだろう。製作途中での開発スタジオ変更といった出来事もあって、ゲーム内容に関して不安に思う人もいたかもしれない。しかし、安心してほしい。プレイした結果、そんな不安は見事に吹き飛ばされた。

今回のレビューではPS5版でのプレイ、難易度はノーマルに位置する「ACTION」、画質設定は1080p 60fpsの「パフォーマンス優先」モードでメインストーリーをクリア、マルチプレイをある程度の段階まで遊んだ時点での評価をお届けする。

ゼーガ・グランデ空域で繰り広げられる騎空団の新たな物語

『グランブルーファンタジー リリンク』は、「グラブル」シリーズ初のアクションRPG作品で、原作に登場する魅力的なキャラクターを3D空間で自在に動かせることがセールスポイントとなっている。

一方で本作から「グラブル」に触れる人にとっては、プロローグから唐突な展開や専門用語の嵐で最初こそ驚くかもしれない。しかし、メインストーリーの運び方自体は王道中の王道でわかりやすいので、「シリーズに興味はあったけれど、原作や関連作を遊んだことはなかった」という人にとって本作は「グラブル」入門にうってつけだろう。「登場人物の名称や姿は知っていたけど、素性や性格まではあまり知らない」くらいの認識であっても十分に楽しめる内容になっていた。

メインストーリーのみをプレイしても登場人物の関係性や世界設定などは徐々に把握が可能だ。より深い内容や背景を知るためには本作に用意されている用語集やアーカイブ、そしてフェイトエピソードと呼ばれる個別ストーリーを読むなど、自身でコンテンツにアクセスする必要がある。こうした仕様について少々気になる部分がいくつかあるが、詳細は後述する。

手触り・ビジュアル・演出よし

筆者がアクションゲームに期待するのは、何よりもアクションの手触りだ。その点、本作はシンプルな操作かつ、ボタンを押した瞬間からキャラクターの動作がはじまるまでがとても早いので、プレイヤーの思った行動がすぐに反映されて、手触りがとてもよい。攻撃やアビリティの最中であってもつねに回避行動を挟むことが可能で、全体として軽快な��クションとなっている。それでいてジャスト回避やジャストガードはなかなかにタイミングがシビアなので、プレイヤースキルの成長の余地もちゃんと残されている。操作感は使用キャラによってもだいぶ違うので、攻略の合間にお気に入りのプレイフィールをもつキャラを探していくのも楽しい。

別々のキャラであるはずなのに攻撃モーションに同一のものが使われている、いわゆる「コンパチ」的な要素を本作ではほぼまったくと言っていいほど見かけなかった。唯一その要素を感じた主人公グラン/ジータでさえ、通常攻撃の連撃はまったくの別物で、アビリティの攻撃モーションも違っていた。

感心させられたのは、状況に応じた戦い方が求められる点だ。本作ではモンスターとの集団戦になることが非常に多く、近距離・遠距離・サポートといった役割をもつ敵が数多く出現する。アクションゲームではプレイヤーが攻撃役に回ることがほとんどだが、本作では各キャラがそれぞれ習得しているアビリティを事前に最大4種まで装着できる。この組み合わせ次第で攻撃主体の戦いのみではなく、ときにはパーティ全体の回復や、攻撃力・防御力アップ、スロウ効果等のバフ・デバフを付与するサポート役に回ったほうが有効なこともある。また、普段は気にならないはずの敵でも、集団で押されるのを防ぐべく順番を考えて倒していくことも必要になる。

ボス戦では、プレイヤーが回避に徹さざるを得ない状況に陥ることもある一方で、状況を打破するためにその猛攻をかいくぐりながら距離を詰めていかなければならない。

メインクエストの進行状況やクエストの内容により、たとえ同じ敵を相手にすることになったとしても、使用キャラクターの変更やアビリティの編成により通常戦闘もボス戦もまた違った気持ちで戦える。このように本作はアクションゲームとして非常に手堅い作りをしつつ、RPGらしい役割分担の要素も備える。

さらにアビリティや奥義、7属性による攻撃やチェインバーストなど原作に存在する要素があますところなくうまく落とし込まれているのだ。「グラブル」らしさ満点のアクションとして素晴らしい体験が味わえる。

加えて、アクションゲームが苦手な人、そもそもゲームが苦手な人であっても安心してプレイが可能となる操作モード「アシスト」、「フルアシスト」が本作には搭載されている。「アシスト」は□ボタンを連打するだけでコンボやアビリティなどが状況に応じた行動ができ、ボタンを押していないときは自動でガードや回避が発動する操作モード。一方「フルアシスト」ではなんと、左スティックによる移動で敵モンスターに近づくだけでスムーズに自動戦闘をしてくれるものになっている。どちらも各種攻撃行動やジャスト回避を頻繁に発動させてくれるうえに、報酬の減少といったデメリットは存在しないため、爽快な戦闘を誰もが気兼ねなく楽しめる。

では、本作をRPGとしてみたときどのような印象を受けたのか、といえば「ゲーム全体のテンポがよく気楽に遊びやすい」という言葉に尽きる。そうした遊びやすさを筆者は主にメインストーリーの進行とキャラクターの育成面にて大きく感じた次第だ。

本作はなによりストーリー進行のテンポが非常にスムーズだ。メインとなるアクションパートは先述したように誰でも気兼ねなく熱いバトルが楽しめつつ、街の探索や会話イベントといったものがほどよく挟まっていくので、つねにプレイヤーを飽きさせない。フィールド内のチェックポイントも多めで、その場で素材の交換や武器強化も可能なうえ、もし中断したくなればすぐに街へ戻ることもできる。復帰する際は最後に通ったチェックポイントからの再開となるため安心だ。

こうしたテンポのよさは育成面においても明確に感じられ、「スムーズにゲームをプレイしてもらいたい」という開発陣からの気持ちがプレイを通じて伝わってくるようだった。メインストーリーの進行とその過程で出現したクエストをこなしていくだけでもレベルは難なく上がっていくうえ、ストーリーの進捗度によって開放キャラクターの初期レベルはちゃんと調整されていく。後述する武器作成・強化やアビリティ習得、「ジーン」の装着などでも能力値が大きく変わるので、ひとことでレベリングと言っても、プレイヤーの好みのスタイルでキャラクターの強化が可能となっているのだ。

ビジュアル面においても、「グラブル」に登場する美麗なイラストをそのまま3Dにしたような世界は「その場にいたい・ずっとプレイしていたい」と思わせてくれた。舞台となっている「ゼーガ・グランデ空域」には、拠点となる辺境の街「フォルカ」や花都「シードホルム」、メインストーリーやクエストの舞台となる草原や鉱山、雪山や砂漠、騎空艇甲板などさまざまな場所で冒険が繰り広げられることとなる。フィールドの大きさ自体はそこまで広くないもののロケーション自体は豊富かつ印象深い場所が多い。

風の星晶獣による暴風のせいで吊り橋や足場、壁などが次々に砕け崩れていくなかをどうにかして進んでいく鉱山地帯。煌めく氷柱がいたるところにある幻想的な雪山を踏破したかと思えば、古代遺跡に眠るお宝を探すため広大な砂漠を魔法の力で滑走することに。騎空艇甲板に備え付けられた砲台を利用し、空から迫りくるワイバーンの群れを一網打尽にするといった戦闘も発生する。

ストーリー中盤あたりに訪れることになる拠点「シードホルム」では、発着場を降りてすぐににぎやかな市場が出迎える絢爛豪華な城下町が描かれている。その一方で、狭い路地に入ると暗く入り組んだ道の先に怪しい酒場があったり、ガラの悪そうな人たちがたむろしていたりと、同じ街の表と裏が浮き彫りになっている。そうした街を探索してクエストをこなしていくうち、街に関する資料が拾えたり条件を満たさないと開かない豪華な宝箱がふと置いてあったりする。その結果「シードホルム」という街がどのように形作られているのかが見えてくるのだ。

そんなロケーションの数々を旅し、プレイ中「次はどんな場所に訪れることになるのか」、「どんな冒険が待っているのか」という期待が終始筆者の心を満たしていた。本作はその期待にちゃんと答え、プレイヤーの「冒険心」を呼び覚ましてくれる。

流れとしては、基本的には拠点となる村・街からストーリーやクエストに応じてさまざまなフィールドへ赴き戦闘をこなしていくというもの。別の作品でたとえるとメインストーリー進行においては『ファイナルファンタジーVII リメイク』、戦闘アクションの手触りは『NieR:Automata』、拠点の存在やクエストモード・マルチプレイの仕様などについては「モンスターハンター」シリーズをイメージしてもらえればわかりやすい。

戦闘フィールドでは主に敵モンスターを全滅させてマップの奥深くへと進んでいくことになる。その過程には宝箱やチャレンジ戦闘、アーカイブや収集物など寄り道要素も含まれているが、本作にはマップ・ミニマップが存在しないので、足を使ってじっくり探すことになるだろう。幸いフィールド自体は広くないものの、高低差があることが多く、一見するとすぐに通りすぎてしまうような意地悪な場所もあったりするので注意が必要だ。

内容もバラエティに富み、対象の護衛やギミック満載のイベント戦闘、白熱のボスバトルなどが待ち受けておりプレイヤーを飽きさせない。特にストーリーボスとのバトル演出は非常に素晴らしく、巨大ボスたちとのバトルや敵組織の将軍との戦いをはじめ、敵のフェーズが変わる際に挟まれるイベントはどれも秀逸でジェットコースターのように激しく、展開とともにプレイヤーを熱くさせてくれる。

個人的にお気に入りのボス戦は「星神エクスカリオン」戦。4人の人間対巨大ロボットサイズの星神との戦いをどのように制するのか。エクスカリオンが持つ強烈なレーザー砲や拡散ミサイルのような分厚い砲撃をかいくぐりながら弱点を攻めていく。道すがら協力関係になったキャラクターたちが駆けつけ騎空艇から援護射撃をしてくれるなか、目まぐるしく展開が動く戦闘に「ベヨネッタ」や『NieR:Automata』といったプラチナゲームズの作品で味わえる感覚を思い出した。ほかにも思わず「おお!」と唸ってしまったバトルは数多くある。

充実の育成要素で、お気に入りのキャラクターとパーティ編成を作り出せる

RPGならではのキャラクター育成要素も充実。キャラのレベルアップやマスタリーポイントを使用しての基礎パラメータ上昇・アビリティ習得、武器強化など育成手段が多く存在している。最初は面を喰らうかもしれないが、メインストーリーを進めていくうちにだんだんと機能が追加されていくし、ゲーム内チュートリアルも丁寧に進行していくので安心だ。RPG中盤〜終盤で発生しがちなパーティがずっと固定されてしまうということも一切なかった。

どの程度まで強化されているかは各キャラのパラメータを見ていけばよいのだが、筆者は数字と向き合うのがあまり得意なほうではなく、最終的に面倒になってしまい「さいきょうそうび」や「おすすめセット」等を選びがちだ。本作では各キャラクターが持つHP、攻撃力、装備しているものなどをすべて参照しておおまかに計算された「戦力値」としてわかりやすく表示されるので、細かなパラメータと向き合うのが苦手な筆者にはとてもありがたかった。クエスト受注の際、「推奨戦力値」という形で攻略ハードルがそれぞれ定められているので、よほど高難度なクエストやより素早くクエストクリアを目指すわけでもなければ、この推奨値をもとにパーティを考えてしまっても大丈夫な作りになっている。

さらに「ジーン」と呼ばれるアイテムを装備することで基礎能力の底上げをはじめ、チャージ時間の減少やクリティカル率の上昇、残HP量によって攻撃力が増減するなどといった特殊効果の装備も見込めるのだ。ジーン自体の強化も可能なため、能力育成・レベリングが好きなプレイヤーにとって延々とハマり続けてしまうだろうコンテンツになっている。

キャラクター個別のストーリーが楽しめる「フェイトエピソード」を進めていく(特定タイミングで専用クエストも発生)ことでもステータスは上がっていくので、攻略に少し疲れてしまったときは休憩がてら見てみるのもおすすめだ。

個性的な仲間たちが多く登場し、さまざまなパーティを試したくなる作りに

仲間キャラの存在は本作の魅力のひとつだ。本作では、メインメンバーであるグラン/ジータ、カタリナ、イオ、ロゼッタ、オイゲン、ラカム以外の仲間キャラは、ストーリー進行で自動加入しない。加入させるためには特定の条件を満たすことで入手できる専用アイテム「キャラクター解放チケット」が必要だ。キャラたちは属性もバランスよく分かれていて、各々の戦闘スタイルがすべて違っているため、そのキャラクター専用のシステムが含まれている場合が多く、パーティメンバーとして編成する場合でも自身で操作する際でも新鮮味を感じられる。メインメンバーが習得できないような能力・アビリティを有していることも多いので、敵モンスターの属性や能力に合わせて選ぶのも、どのように本作の戦闘を楽しみたいのかで選ぶのも、キャラや武器の見た目などプレイヤーの好みで選ぶのもよい。

アビリティの選択肢が豊富で、そのチョイスによりどんな状況であってもオールマイティに立ち回れるグラン/ジータ。双剣による目にも止まらぬ連撃とステップによる高速移動により継続的にダメージを与え続けるランスロット。大剣一振りの攻撃力が高く、コンボフィニッシュやアビリティから連続して繰り出せるチャージ攻撃が強みのパーシヴァル。シビアなボタンタイミングが要求されるものの、極めれば槍による空中攻撃のスペシャリストになれるゼタ。ここで紹介しきれていないキャラクターを含め全20名、各々の個性を惜しみなく詰め込んだプレイスタイルで楽しめる。

また、シングルプレイ時、プレイヤーキャラ以外のパーティメンバーはCPU操作になるが、そのときのCPUの状況判断がすばらしい。回復がほしいときや敵にデバフをかけてほしいとき、ダウン状態から蘇生してほしいときなど、プレイヤーがやってほしいことをすぐに行ってくれる。

ファンが喜ぶ要素としてコンボフィニッシュやリンクアタックを決めたとき、奥義のチェイン連携やジャスト回避に成功した際など数多くの場面でセリフを発してくれる。うまくガードや回避ができると「さすがだ!」と褒めてくれたり、「いまだ!」、「奥義準備OK!」といった連携を促したり戦闘状況を伝えてくれるものから、キャラクター同士の関係性を踏まえた掛け合いまでさまざまなパターンが存在する。これが全キャラ分存在するのだ。戦闘中の音響はパーティメンバーの会話にフォーカスされているのかとても聞きやすくなっており、状況判断もしやすい。そんななかでも思わず笑みがこぼれるようなやりとりが聞けることもある。どんな会話があるのかを想像しながらパーティを組むのもおもしろい。

特に驚いたのは、メインストーリーに絡むことのないキャラクターであってもプレイヤーキャラクターにしておくことで、展開に応じた専用セリフが用意されている点だ。メインストーリーはグラン/ジータでプレイする人も多いとは思うが、ときには思い切って気になるキャラ・好きなキャラを使用して戦ってみるのも楽しみ方のひとつだ。

圧倒される「クエスト」モード&マルチプレイのやりこみ要素

本作におけるマルチプレイはメインストーリーを進めることにより「クエスト」という形で開放される。クエストはオフラインでプレイすることも可能だが、オンラインでは最大4人のパーティを組み協力して攻略することが可能だ。

チャット・スタンプによるコミュニケーション機能やマッチング時に自身の進捗より先のクエストを選ばないようにできるネタバレ防止機能など、ユーザーフレンドリーな仕組みが充実しているので、気軽にオンラインモードに繰り出せるようになっている。なかにはクエストでしか出会えない敵モンスターも存在するので、メインストーリーの合間にどんどん遊んでほしい目玉要素のひとつだ。

また、ゲームクリア後、クエストモードはエンドコンテンツという位置づけになる。敵の能力は軒並み上昇し、あっという間にプレイヤーのHPを減らしていくのは当たり前。戦ったことのある敵が予想だにしない技を放ってくる場合もある。キャラそのものの能力値も大切だが、防御や回避といったプレイヤースキルもより重要になってくる。

筆者自身、お気に入りのキャラクターたちの成長のために、延々とクエストモードを遊んでいる。難易度が上がれば上がるほど報酬の質やレアリティが上がっていくので、それに比例してクリアできたときの達成感はすさまじいものになっていくのだ。ボス討伐戦はもちろん、エリア制圧やターゲットの護衛、フィールドに散らばったメダルを回収するなどさまざまなクリア目標が提示されるクエスト。そのクリア目標の内容によって入手できる報酬の種類や傾向も変わる仕組みだ。

手触りのよいアクションをシングルやマルチで存分に楽しみながら、クリアしていくもなお新たに開放されるクエストに「この先にいったいどんなものが待ち受けているのか?」と期待が生まれ、難度の高いクエストを踏破するためキャラクターをじっくり育成させることになる。ダメージ量の増加、ジーンや新たに習得したアビリティによる強化、目に見えてわかる成長結果を携え、攻略が厳しいボス戦で活躍できたときは大興奮だった。

この記事の執筆後も気づけばクエストをこなしてしまっているくらいにはアクション面、そしてクエスト攻略による達成感と報酬量に中毒性がありやりごたえが満載なので、アクションゲームが好きな人にとっては至福の時間を味わえることだろう。

ストーリー序盤、UI周り、解放仲間キャラクターの扱いには気になる点も

ここまで手堅い良質なアクションRPGとして、本作が持つよい点を多数述べてきたが、気になる点がないわけではない。

プロローグ、そしてストーリー序盤の展開に関してはグラン/ジータたち騎空団メンバーの簡単な紹介はあれども、原作における活躍のダイジェストムービーなどないままゲームがはじまっていく。その後、ストーリーを進めていくことにより人物同士の会話などから世界設定やより突っ込んだキャラクターの紹介がされていくものの、それらはあくまでも簡素なものにすぎない。自発的にフェイトエピソードの進行やアーカイブモードで資料を閲覧していかないと、該当するキャラクターの過去や設定・用語の深いところまでは把握できないようになっている。筆者自身は過去に原作をほんの少しだけプレイしており、「グランブルーファンタジー ヴァーサス」シリーズも遊んでいたおかげでなんとかなったが、これがシリーズ初見だと面を食らってしまったかもしれないとも思う。

また、イベント中に語られる「グラブル」世界の情勢や強大な力の存在など、用語としてハイライトされているものはプレイしていくとなんとなく把握はしていけるものの、その成り立ちや独特な名称の由来、とある種族の存在などについては用語説明を見ないとすっと頭に入ってこないことがある。というのも、それらの説明が戦闘中に行われることがそれなりの頻度であるためだ。今作からシリーズに触れる場合は、用語を確認したりフェイトエピソードをこなしたりして、積極的にこの世界を知ることが求められると言えるだろう。

UIにも気にかかる点がある。本作はアクションゲームとしてのカラーが濃いためなのか、拠点での移動・戦闘中に限らずマップ・ミニマップが存在しておらず、あるのは方角とナビゲーションアイコンを指し示すコンパスのみになっている。メインストーリーにおいては初期設定で一定時間動かないでいると自動的にナビゲーション機能が働くので、シナリオ進行では問題はほとんどない。しかし、フィールドによっては広大かつ入り組んでいる場所もあり、隠し宝箱やチャレンジバトルなど寄り道要素も存在する本作には、簡易的なミニマップだけでもあってほしかったというのが正直なところだ。

解放仲間キャラクターの扱いについても少し述べておきたい。前項で述べたようにこれらの仲間たちは専用アイテムで解放していくのだが、各々のプロフィールや過去、設定周り、メインキャラクターとの関わりはフェイトエピソードでしかほとんど語られない。

このあたりについては原作においても同じストーリー展開の手法なので「グラブル」らしいといえばらしい。ただ、3Dグラフィックモデルが用意されている本作であれば、もう少し通常の会話イベントや街の住人との会話などにも登場しメインメンバーに対して介入してきてもよかったのではないかと思う。

長所

  • 原作の要素をあますことなく詰め込み手堅くおもしろいアクションRPGへと昇華
  • 各キャラクターの個性を存分に活かした戦闘と手触りのよい爽快アクション
  • 素晴らしいビジュアルとストーリー演出
  • クエスト攻略・育成・強化・素材収集など、ふんだんに盛り込まれたやりこみ要素

短所

  • 原作のダイジェストムービーもなく、メインストーリーの導入が若干唐突
  • マップ・ミニマップがないため、寄り道要素の探索に骨が折れる場合がある
  • 非自動加入の仲間キャラのストーリー上の扱いに不満が残る

総評

ゲーム全体を通して原作の要素をうまく落とし込みつつ良質にまとまっている。ストーリーの導入に関する不満やマップ・ミニマップがないこと、解放仲間キャラクターの扱いなど一部気になる点は存在するものの、本作が持つ爽快なアクションと素晴らしいビジュアルに熱いバトル演出、盛りだくさんのやりこみ要素に「グラブル」ファンにとってもそうでない人にとってもアクションRPGとして良質な体験が楽しめる一作となっている。

※購入先へのリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、そちらの購入先での販売や会員の成約などからの収益化を行う場合はあります。 詳しくはプライバシーポリシーを確認してください
In This Article
  • Platform / Topic

『グランブルーファンタジー リリンク』レビュー プレイヤーの「冒険心」を呼び覚ます、手堅く楽しめる3DアクションRPG

8
Great
原作をうまく落とし込みつつ、良質にまとまったアクションRPG。爽快なアクションや素晴らしいビジュアルといったよさがある一方、ストーリーの導入に関する不満やマップ・ミニマップがないことなどの問題もある。
グランブルーファンタジー リリンク